“若者に責任を引き継ぎたい”。甘い常套文句に気をつけよう、これも危険な美辞麗句。若者よ、ご注意あれ。

 自分と周囲の仲間たちの出したい本を自ら出して世に訴える、そんな気ままな出版社を興しての第一号作品刊行に四苦八苦。この3年、とりわけ終盤この3ヶ月の苦難の果てにようやく越えた茨の峠道。やっとの思いで終着してほっと一息である。その間、東日本大震災の国難来たり、やむなく心情吐露したこのブログ欄。あれやこれやのつれづれ話に戻ろうと思った矢先、聞くに堪えない、見るに堪えない、そして看過できない、時の総理大臣と震災対策問題を焦点にした政界のごたごた劇。逆戻ってまたまた関連の出来事に一筆啓上とはなった。
 いったい、この阿呆劇のような、やめるやめない、やめろやめようの茶番劇は、何なのか。福祉を切り捨てた石原都知事については決して全幅信頼、また好意を抱くところではないが、震災対策にまごつく政府与党を評して彼曰く「民主党の連中は、みな未熟者だ」には全く共感する。が、それよりもっと、今や、国会議員(けっして皆ではないが)はなべて未熟者だと、言ってみたくもなる。現下の日本の経済状況、国際境遇を真に憂うれば、総理不信任案を政争の道具に相争う時ではない。日本がこのまま、不幸な震災被害者を救うことなく経済大不況、国際地位の暴落に陥るなら、政争の首謀者、追随者の別なく、彼ら国会議員はみんな首を繋げて監獄行きでなければならない。そのような罪意識のかけらも、今の政治家諸君にはないのだろう、きっと。
 それにしても、総理大臣・菅直人という人、あんなにも二枚舌、3枚舌の人物とは、夢思わなかった。不信任案投票に入る前の民主党代議士会で、驚くべき言辞を弄した。「震災対応などで一応のメドがついた段階で、若い世代に責任を引き継いでいただきたい」。これは一体何だろう。かつて私が勤務していた大学の学長さんが言った言葉を瞬時に思い起こした。「若い世代にこそ期待が持てる。50代、60代ではこの大学の将来は担えない」と言ってこの人は、ライバルとなり得る世代を突き放して巧みに“若い”世代を持ち上げて取り込み、己の失点の追求を押さえ、学長を2期つとめ、さらに既存の規定を変えて、学長3選を可とする新しい学長選挙規定案を自ら教授会に提出した。彼は、学内で生じた誹謗文書事件で、気に入らない人たちをいわれなき嫌疑をかけて苦しめ、一方、他の不祥事件では、詭弁を弄して自らの責任を取らなかった。
 菅さんの代議士会における演説は、この時点で、とっくに先が見えた。辞任の意志など全くない曖昧模糊たる「一応のメド」など、今更その意味など問うても所詮、せんないことである。こんな子どもだましの言い回しに、“若い”世代がちょろまかされて、声高に叫んだ不信任案賛成を鞍替えて(否、その後に少しはあめ玉をもらえるかと)即座に総理信任に回るなど、元々、主義も理念も何もない未熟な代議士諸君だったのだろう。そんな中で、首謀者O氏、H氏らの敵前逃亡を見ながら、一念を通した二人の民主党議員には、深甚なる敬意と一抹の救いを感じるから、妙である。
 ともあれ、「若者に責任を引き継ぎたい」といった、“若者”を“馬鹿者”と見くびり持ち上げあげつらう甘い文句は、誠意も節操もない無責任な手練れ人間の用いる常套手段。老人を持ち上げあげつらう事も含めて、これらの危険な“美辞麗句”を臆面もなく言いつのる者には、若者・老人に限らず、我々はみなよくよく気をつけねばならない、と改めて実感させられた此度の管さんの劇場演説ではあった。

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宗内 敦(カラーピラミッド)

Author:宗内 敦(カラーピラミッド)
教育・文芸同人誌『琅』発行人
「書肆彩光」代表者
日本教育心理学会会員
日本ペンクラブ会員
”下記の著、拍手・コメントを頂戴した方に贈呈いたしたく。ご希望あれば、ご連絡下さい。”
 ☆『二言、三言、世迷い言』(書肆彩光 1012)
 

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