初心忘るべからず―「なでしこジャパン」の敗因

 W杯女子サッカー、決勝進出グループ1位をかけての対イングランド戦で、なでしこジャパンは大した見せ場もなく、無残に敗れた。先の試合で予想外の大勝をなし、勝たねばならぬ、勝って当然、勝てるはずだ・・・等々、いろいろな思いで気負った面もあろうけれど、開始直後から見られた、ちょうど男子日本代表のひと頃見せていた俺が俺がの気負いよろしく、機熟する前の強引なシュートを放つ戦いぶりを彷彿とさせる展開は早くも敗戦を予想させた。1対1の対峙を見てもすぐに分かるように、日本選手の個人技は,体躯的制約からも、ヨーロッパ諸国の選手に比べてまだ大きく見劣りしている。気負って、連帯力を弱めた戦いでは、とても体格・個人技に勝る外国チームに勝てるわけがない。私が敬愛し続けてきた「なでしこジャパン」ほどのメンバーでも、「連帯」という初心を忘れることがあるのか、試合終了後の各選手たちのインタビューにおいても、それに対する内省の弁は誰の口からも出てこなかった。これでは、陣形も崩れ、肝心の守備意識もちぐはぐとなり、赤子の手をひねるように苦もなく相手にひねられて、当然の結果ではあった。
 野球やバレーなどの集団戦、テニスや柔道などの個人戦、どんな態様であれ、大勝した後の試合では、つい初心を忘れて、雑になって自滅する。これはプロもアマも、大人も子どもも、いやいやスポーツに限らず、どんな世界においても普遍の出来事である。その根源の理由は、即ち「初心」を忘れてしまうことである。昨今では、我が国政道における「民主党」の堕落・凋落がその典型的、代表的事例であろう。が、もともと彼らに「初心」といったものがあったか否かは、まことに疑わしい。政権を奪いたくて、野党時代に耳障りのよいことを政策として並べ立てていただけだったとしか、今にしては考えられない。初心とは、底の底に真の哲学・理念が埋まっているものであり、そうであればあれほど見事に「変質」するわけが無かろう。
 なでしこジャパンが体現していた「一致団結」と「連帯力」は、身体的にも劣る日本女子サッカーが世界に伍するための、ほとんど唯一最大の武器。そしてみんなで必死に保ち、築き上げてきた「初心」であった。それは単なるスローガンや商業カタログなどではけっして無かったはずである。資源に乏しい我が国をして、1945年、戦後の悲惨のどん底から立ち直り、立ち直らせてきた「国民的初心」は何であったか。混迷を極める政治災害によって、東日本大災害に打ちのめされている方々を中心に、深刻な国難状況がもたらされている。こうした中にあって、「なでしこジャパン」は、人が与(くみ)するときのあるべき理想の姿を示すことによって、今や、夢と希望をもたらす正道な国家的アイドルでもある。次の決勝トーナメント1回戦では、「初心忘るべからず」。一致団結と連帯の精神は、すべての前進と復興の要、それを国民全体に、今一度体現・具現してもらいたいものである。
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宗内 敦(カラーピラミッド)

Author:宗内 敦(カラーピラミッド)
教育・文芸同人誌『琅』発行人
「書肆彩光」代表者
日本教育心理学会会員
日本ペンクラブ会員
”下記の著、拍手・コメントを頂戴した方に贈呈いたしたく。ご希望あれば、ご連絡下さい。”
 ☆『二言、三言、世迷い言』(書肆彩光 1012)
 

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