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大津市・中学生自死事件は人災。事件を生かす「学校内有事における事件処理体制」の確立を!

 大津市のいじめ被害者自死事件のニュースが連日、飛び交っている。何とも痛ましい。マスコミ・世間の批判に押され、この件に関して消極的だった警察がついには介入するに及んで、事態は急変。当初、責任回避的な態度だと批判され続けていた学校・教委、さらには行政側が次第に責任を認めるようになり、マスコミ・世間は溜飲を下げ、耳目は、加害者・学校の責任をも追及することに繋がる、自死生徒の遺族が市などに損害賠償を求めて起こした訴訟の行方に移りつつある。市側は和解の方向と報道されており、これはこれで大方の求める一つの解決である。がしかし、これはむなしくも、「いつか来た道」でもある。
 思えば、こうした解決の過程は何ともむなしい。これまで、似たような事件は過去にいくつも生じているが、都度に場当たり的に事後処理が施されるばかりで、問題の本質的解決はいっこうに得られていない。私たちが一様に望むことは、こうした事件から痛切に学んで学校・教師が本来の教育力を回復してくれることであるが、この最も大切な点が置き忘れられ、むしろ事件を契機に、世間から集中砲火を浴びた学校・教師がますます萎縮してかえってその教育力を奪われるという、悪循環論に陥るのが常である。それは数年前の福岡県筑前町で起きた、いじめを苦にした中二男子生徒の自死事件を思い出してもすぐ分かる。多くは言うまい。此度こそは、学校・教師が教育力の再生を勝ち得る方策を得なければならない。これこそが、学校・教師に頼り得ずして尊い命を自ら絶っていった子どもたちに対する弔いであり、また責務でもあろう。
 そのための方策は、まずは「学校内有事における事件処理体制」を確立することである。平成9年、当時大きな教育社会的問題として浮上した教師による体罰事件の解決を訴えて、友人の一人が朝日新聞の「論壇」に「体罰事件の処理に公正なシステムを」を投稿した。此度の事件も今、第三者からなる事件解明のための調査機関の設置が言い出されているやに聞くが、こうした意見を早くに世間に訴えた内容である。私はそれを一段進めて考察し、第三者を含めた調停組織を教育委員会内に設置することを提言、それを「教育機能を損ねない体罰事件処理を」と題して、同じく「論壇」に投稿した。要は、各種民事調停事件の随を取り入れ、これを置くことによって、「加害者」-「被害者」の単なる対立構造に終わらず、最終的には被害者側の思いが充分に検討されるよう保証され、また論議・検討の過程で学校・教師側は否応なく被害者の主張やさまざまな社会的視点を考慮せざるを得なくなって、教育のあり方そのものを自ら問い直すことになる。提言は、それを期待したものであった。
 しかし、爾後、学校や教育委員会内にそうした組織がつくられたという報告は一切無い。それから10年経って、上に挙げた福岡県筑前町の事件が起きた。私は「学校・教師はいじめ体質から脱け出よう-イジメ自殺事件に因んで-」を書いて、二つの新聞社に投稿したが、採用されなかった。そして、此度の事件である。
 大津市の中学生自死事件に警察が介入。学校・教委が原因分析をするたびに事実隠蔽・言い訳だと、ますます世間から攻撃される。警察の介入にも道理がある。しかし、その後の学校・教師側の対応を見ると、嫌々ねじ伏せられ、真の内省を得ることからはとても遠く、学校・教育界がますますその教育力を失う「いつか来た道」を繰り返しているにすぎない感がある。元々、常に一方的にその非を問われ攻撃される学校・教委に此度のような事件の冷静な解明・解決を求めることは無理である。生徒を被害者とする学校内有事においては、問題の正しい理解や納得のいく解決の道は、民事調停を模した、(学校・教師を含む)加害者側と代理人などを含む被害者側、それに中立の第三者を加えた、関係者平等参加の事後処理検討システムが無ければ得られようもない。その場でもし行き違って納得のいく和解が得られず、その後刑事・民事の司法手続きへ移っても、それまでに検討した諸々の問題点は、学校および保護者に対して大いなる内省をもたらし、後の両者の教育機能の向上にも繋がる。このようなシステム作りの契機になるべき重大な教育事故はたびたび生じてきたが、遺憾ながら統轄官庁の文科省がこのシステム作りに関した気配もまた、全くない。地震・津波による原発事故を人災というなら、此度の混乱は、これを怠ってきた関係者による容易ならざる人災である。
 文科省が駄目なら、各地教育委員会でもよい、どこでもよい。一刻も早く、かかる事件の再発を防ぐべく、事件を生かす「学校内有事における事件処理体制」を作るべきである。
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宗内 敦(カラーピラミッド)

Author:宗内 敦(カラーピラミッド)
教育・文芸同人誌『琅』発行人
「書肆彩光」代表者
日本教育心理学会会員
日本ペンクラブ会員
”下記の著、拍手・コメントを頂戴した方に贈呈いたしたく。ご希望あれば、ご連絡下さい。”
 ☆『二言、三言、世迷い言』(書肆彩光 1012)
 

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