「たかがスポーツされどスポーツ」。もって鑑とすべし「なでしこジャパン」を!

 真善美の極地をひたすら目指して邪念無く自らを追い込むのが、芸術やスポーツの真髄・極意、と思っている。過日、久しくマスコミの世界から遠ざかっているように見える永六輔氏が、ある若手音楽家とのテレビ対談の中で、これに近いことを語っていた。そこで氏は、ことさらその若い音楽家に向かって、人を感動させるとか勇気を与えるとか、邪念と傲慢に満ちた醜い気持ちを持ってはならない、まして、それを言葉にすることなかれ、と諭していた。
さて、ロンドンオリンピックが終わり、当然の如く、たくさんの「勝者」が出て「敗者」が出た。ここで勝者とは、期待と想定以上の結果を上げた者、敗者とは、期待・想定以下の結果に終わった者であるが、このうち勝者の弁が連日、テレビを通じて報道され、その中に「国民の皆さんに勇気や感動、元気を与えた」といった類の言葉が時々発せられ、これが何とも聴きづらい。いかに国民総声援の4年に一度のオリンピックとは言え、所詮はスポーツの祭典。そんなことぐらいで、人がその生き様に関わるほどの感動や力を与えられるものか。例えば、今なお震災後の逼迫する苦難な生活から抜け出ることが出来ない多くの方々に真に勇気や元気をもたらすものが何かと問えば、こんな金メダルや銀メダルの1つや2つでないことぐらいは、小さな子どもでも容易に分かる。オリンピックのメダル1つ取ったとて、それは「たかがスポーツ」の世界のことなのである。
とは言えしかし…。こうした中にあっても、読売新聞報道によると、
『栃木県の福田富一知事は16日、ロンドン五輪で銀メダルを獲得したサッカー女子「なでしこジャパン」メンバーで宇都宮市出身の安藤梢選手(30)と鮫島彩選手(25)に県スポーツ功労賞を授与した。安藤選手は「地元の声援から勇気や元気をもらったおかげでメダルが取れた」と話した。鮫島選手も「実家に友人が夜中に集まって応援してくれた。金メダルが欲しかったが県民の皆さんに恩返しができた」と笑顔を見せた。』とある。なんと謙虚でうるわしいこれらの言動。こうなれば話は別、こうした言葉を伝え聞いて人々は、まさしく感動、頑張ろうとの気持ちもかき立てられる。かくて、アスリートたちの活躍は、「たかがスポーツ」から「されどスポーツ」へとなり、人々を感動させ、勇気の源泉ともなる。
 思えば、なでしこジャパンの選手たち、まことにもってアスリートの鑑である。その真髄は、真に一致団結のもと死力を尽くして戦う姿の中のみならず、戦果を上げた試合後のメッセージの中にこそある。昨年、w杯優勝後の選手インタビューで丸山桂里奈選手が、「震災被災者の皆さんの復興に向かう姿に力を与えてもらった」と述べて人々を感銘させたが、その他の選手たちもみな謙虚で味わい深いコメントだった。かくして、なでしこジャパンはまさに国民と一体化したスポーツ軍団であり、この態様が続く限り、彼女たちが名実ともに世界一に輝く日がきっと来る。すべてのアスリート、もって鑑として欲しい。
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宗内 敦(カラーピラミッド)

Author:宗内 敦(カラーピラミッド)
教育・文芸同人誌『琅』発行人
「書肆彩光」代表者
日本教育心理学会会員
日本ペンクラブ会員
”下記の著、拍手・コメントを頂戴した方に贈呈いたしたく。ご希望あれば、ご連絡下さい。”
 ☆『二言、三言、世迷い言』(書肆彩光 1012)
 

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