拝啓、ワンウエイ・みずほ銀行殿―いじめ・パワハラ時代の源になるなかれ、こんな対応、無礼ではありませんか

 いやはや、驚き、桃の木、山椒の木である。今時、こんな人たち、いや、こんな組織?って、あるのかなぁ、と。
 過日、といっても一年以上も前、さる病院内でクレジットカードとキャッシュカードを詰め込んだ財布を無くしたと思い込み、いくつもの銀行、カード会社に大慌てに電話連絡、あげく住居地を管轄する警察にも駆け込むなど、大騒ぎをした。が、その日のうちに思い違いだったことが分かり、今度もまた大慌てに各銀行、カード会社に電話連絡したが、各銀行・カード各会社から、即座にカード発見届けの提出書類が送られてきて、署名捺印してそれを返送、あとは変わりなくそのまま各種カードが使えて、たちまち一件落着した(と思い込んでいた)。ところがその後一年経つうちに、なにやらある銀行(みずほ銀行)のカードだけが使いものにならず、都度にATMで「このカードは使用できません」と表示され、現金が下ろせないことが分かった。出かけた際に金子が不足し,帰りの交通費を調達するのに弱り果てたこともあった。そこで過日、確定申告のため八王子税務署に行くついでに、発行元のみずほ銀行八王子支店に赴いたのだが、それが即ち、驚き、桃の木、山椒の木なのであった。
 現金のおろしついでに仔細を伝えてカードを窓口嬢に渡したところ、何のことはない、カードは「紛失届があったので、使用停止処分になっている」という。ここまではよい。当銀行が他銀行とは異なり、カード発見通知の書類を送ってこなかったのか、あるいは私がその発見通知の書類を送り返さなかったのか、なにか事故や支障があって、カードが使用停止処分のままになっていたと思えば済むことである。が、以下のいきさつには全く恐れ入るほかはない。感情・評価を交えず事実のみ記すと、次の如くである。
「では、カードを使用できるように変更してください」
「分かりました。でも、すぐにはできません、お客様がすべて終わりになるまでお待ちください」
「税務署に行かなければならないので、そんなに長く待てません。」
「こちらも忙しいので、来店の皆様への対応がすべて終わるまでは、どうしようもありません」
「では、カード発見届けというような書類があると思いますが、それをください。のちほど、郵送します」
「その書類はありますが、ご本人が来店して提出することになっているので、お渡ししても意味がありません。だからお渡しいたしません」
「え?!」
 来店客が多いせいで殺気立っているようにも感じられたので、ここはいったん引き下がり、帰宅してから適応な部署に電話で問い合わせることにした。しかし、殺気だっているのではないかという善意の憶測は全く外れ、それどころか、そして次には、心の底からびっくり仰天したのである。
 翌日、みずほ銀行八王子支店に電話を入れ、応対に出た〝お客様係〟Y嬢に前日のいきさつを話し、改めて、カード発見通知の書類を送ってくれるよう、丁重に依頼した。ところがである。この担当者曰く、当行ではカード紛失・発見に関する取り扱いは、窓口嬢が説明した通りであり、従って「カード発見通知書はもちろん送れない、身分を証明するものをもって来店した上で手続きされたい」とのことである。
 私は、水を向けてみた。
「老齢で体調も悪く、家での仕事も重なっていて、外出は難しいのですが…」
「それなら、代理人を立てて、その人を寄越してください」
「代理人が居なかったら、どうするのですか?」
「自分できてください」
「え? どうしてもこちらから行かなくてはならないのですか」
「そういうことです」
 私は、切り札を出すことにした。
「でも、他の銀行やクレジット会社ではみんなカード発見通知の書類を送ってくれて、それを返送するだけで済んでいますが…」
 しかし、ものの見事に当てが外れた。
「他のところのことは知りません。これは,私どもの規則です」
 こうなってはもう、引き下がるより他に術はない。でもちょっと待て。今一度、今度はちょっぴり底意地を持って、言ってみた。
「こちら、八王子支店まで出かけることはほんとに難しい。そちらから我が家にやってきて手続きをしてくれることはできませんか。ほんとに、出かけることは難しいのです」
 相手はきっと張り詰めた調子で応えた。
「そんなこと、できません。こちら忙しくてお客さまのところなど、訪ねる時間なんて全くありません」
 こうなると、こちらも段々怒りも顕わになり、底意地もますます悪くなる。
「そうですか。何年か前、投資信託を売りに来たときは、課長さんが女性社員を連れて訪ねてきたけど、まあいいか。それでは、その投資信託の毎月配当金もカードがなくては近くのATMでも下ろせないので、他の銀行に振り込んでもらうようにしたいのですが、その手続きはどうしたらよいですか」
 相手は一瞬考え込む風情を感じさせたが、すぐに毅然として言ってきた。
「そんなことはできません。配当金はすべて当行の預金通帳に振り込む規則になっています!」
 ああ、何をか言わんや。この相手、この銀行? まるで、こちらの望むことは何でもかでも一切拒むことを喜びとしているやにも見える。呆れもし、怒りもし、こうなっては怒声となって、最後の締めをするしかない。
「それでは、何が何でもそちらに行かなくてはいけないと言うことだね」
 突然変容したこちらの剣幕に押されたのか、相手がひるんで、返事がない。今度は、思わず怒声に満ちた言葉になった。
「返事をしなさい!、ハイといいなさい!」
「……」
「返事をしなさい!」
まだ、返事がない。
「そういうやり方が正しいというなら、きちんと返事をしなさい!」
一瞬間を置いてから、「はい」と応えるか細い声が届いた。
 その後、半年が経った。が、みずほ銀行八王子支店からは、もちろん、何の連絡も無く、外出時に携帯するキャッシュカードは、コンビニその他、どこのATMでも手数料無料の新生銀行のそれに替えた。

 他の銀行やカード発行会社と同じようにはできないという、即ち,銀行に赴かない限りカード使用の手続きはできないというこの銀行の有り様、老齢で病苦を抱える私にとっては、とりわけ意地悪な対応である。が、よくよく辺りを見回してみれば、それは格別珍しい対応でもない。昨今の世の中、およそいじめ、意地悪など、パワハラ行為に満ちあふれているからである。パワハラとは、大上段に振りかぶって言えば、「教育・指導・医療、あるいは行政・営利・サービスなど、あらゆる人間関係のさまざまな関係性のなかで、優位な立場に立つ側が物理的・心理的・経済的、そのほか様々な側面で相手を害する行為」、要するに、相手を困らせ、弱らせ、いたぶる行為であるが、今や、こうした小さなパワハラから大きな組織体のなかで行われる「退職追い落としパワハラ」まで、あちらでもこちらでも多種多様、まさに平成パワハラ時代である。こうした世相が子どもの世界にも浸透し、陰湿ないじめによる被害者の自死事件も珍しくなくなり、社会人の適応・精神障害も増え続けている。力弱い者は、怒りを発散する術さえ持てず、屈辱のなかで、世を嘆き、恨み、ひたすらじっと堪えるほかはない…。政府は、アベノミクスで世の中変わった、明るくなったと調子よく景気回復をぶち上げているが、実は暗きにくらい陰湿な世界はなお厳然と存在している。折しも、TBSの最近のテレビドラマ「半沢直樹」、やられたら倍返し十倍倍返しでやり返す、という痛快なテーマが視聴者の絶大な共感と支持を得て大ヒット。この現象こそ、この世の中に、向けどころのない鬱積した怒りや怨念を抱え込む限りない数のパワハラ被害者がいることを、痛いほど如実に示すものである。

さて、評論家ぶった話は措いて、このような不快な体験をすると、人様からの善意や好意がことさらに嬉しく感じられるようになるからまことに不思議、以前なら軽く受け流してきた、誰でも経験するであろうような他者からの何気ない様々な心遣いが、深く心に沁み入り、人間っていいなぁ、世の中っていいなぁ、としみじみ心温まる気持ちに浸らせてくれる。悪い奴よりよい人の方が、実は圧倒的に多いのである。  ―つづく―

追記:この不快な体験あればこそ、おかげで、人間の麗しい“善性”を見直すこともできました。このテーマ(「拝啓、ワンウエイ・みずほ銀行殿」)であと何回か続きますが、ぜひ最後まで読んで頂きたいものです。一気にお読みくださる方はこちらへどうぞ。
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宗内 敦(カラーピラミッド)

Author:宗内 敦(カラーピラミッド)
教育・文芸同人誌『琅』発行人
「書肆彩光」代表者
日本教育心理学会会員
日本ペンクラブ会員
”下記の著、拍手・コメントを頂戴した方に贈呈いたしたく。ご希望あれば、ご連絡下さい。”
 ☆『二言、三言、世迷い言』(書肆彩光 1012)
 

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