ネット社会の功罪

 とうとうここまで来たか、という“達観”。京都大学の入試で、受験生がネットを通じて試験問題を開示し、その回答を得るべく、「ヤフー知恵袋」なるサイトを利用して、司法当局に逮捕された事件である。
 ネット社会は便利だ。後期高齢者に到達したこの私だって、このところ買い物の過半はネットを通じ、列車・飛行機・ホテルの申し込み、その他諸々の送金もほとんどネットである。また、ちょっとした知識を得たいときには、少しばかりあやふやで危険な情報ではあっても、ヤフーやグーグルなどの検索エンジンを巧みに使いこなせば、ついにはなかなかの情報を得ることが出来る。買い物情報、健康・医療知識、世界の政治・経済・文化の、またスポーツの情報など、新聞・テレビで与えられるそれとは、質量ともに比較にならないほど、豊かである。たくさんの人々に与える、こうした影響力は、用い方一つで、周知のごとく、アラブ諸国の反政府運動を、今や歴史的な革命力へと押し上げるほど、強大なものになりつつある。
 こうしたネット社会に生きるには、実は大変な自制と謙虚が求められる。一歩間違えば、他人を傷つけ、死に追いやることさえある。よくそのからくりを知らないが、いわゆる裏チャンネルなるところでいわれなき誹謗を受け、自死に至ったケースさえ聞く。この私だって、大学教官時代、「変態教授」などと書き込まれ、正しく厳しく成績評価をすることの恐ろしさを体験している。ネット社会の匿名性は自覚的、また無自覚的に他人を攻撃するのにもってこいの環境を整えている。こうした、匿名なるをよしとして他者を攻撃するタイプを「反社会的犯罪行為」とするなら、此度のカンニング的行為は、その対極にある「非社会的犯罪行為」と言えよう。(未完)
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宗内 敦(カラーピラミッド)

Author:宗内 敦(カラーピラミッド)
教育・文芸同人誌『琅』発行人
「書肆彩光」代表者
日本教育心理学会会員
日本ペンクラブ会員
”下記の著、拍手・コメントを頂戴した方に贈呈いたしたく。ご希望あれば、ご連絡下さい。”
 ☆『二言、三言、世迷い言』(書肆彩光 1012)
 

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